君の上に月輝く

  • 2012年6月 6日 13:33

少し以前、大月の長応寺から帰る途中、中央線の駅の四方津か相模湖か、忘れてしまったけれど、用事があって下車しました。そして夜が更けて再びその駅から乗車しようとプラットホームに上がると、誰もいない薄暗い街灯の下のベンチにダウン症の子が一人ポツンと座っていました。リュックを背負って、身じろぎもせず、じっと座っていました。

こんな夜に、お母さんは心配じゃないのかなぁ、一人でちゃんとやれるんだね、そんなことを考えながら、僕もちょっと離れてじっと立っていました。夜空に月がきれいでした。闇夜をじっと見つめている君はなにを想っているんだろう。

そんな時にふと出来た詩です。「君の上に月輝く」 FavoriteのPoemにも載せてあります。ユーチューブで以下の映像を見つけたので、一緒に取り上げてみました。

 

「君の上に月輝く」

 

君の上に月輝き

白くかすんで 夜に滲むは 君の吐く息


君の上に月輝き

もの言わず 一人プラットホームのベンチに座る君は
遠くを見つめて 何を想う


君の上に月輝き

私は離れて 夜の気配に聞き耳を立てれば
一人の君の無言の声が 街燈の灯りの下にフワリと浮かんで
ゆっくりと私の方に 流れてくる


君の上に月輝き

君はいつも 剥き出しの輝く魂を 私たちの前に差し出してくる
君の父母は 遍く月の照らすがごとく
笑いながら 大きくそれを受け止める


しかし私は 話しかけることも出来ず 笑いかけることも出来ず
流れ来る言葉を 右肩にかすめて
静かに うつむいて立ち去るだけ


君の上に月輝き そしてまた 君の上に月輝く

 

「とっておきの音楽祭」の公式サイトです。

http://totteokino-ongakusai.jp/

 

 

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