東京・練馬美術館で開催されている「牧野邦夫展」に行ってきました

  • 2013年5月15日 23:36

東京・練馬美術館で開催されている「牧野邦夫展」に行ってきました。最近、愛知の「秦琴教室」の生徒になった漫画家のペンネーム・姫川明さん(女性二人組です)を誘い、牧野夫人と美術館のロビーで待ち合わせをしました。夫人の興味深い話しを聞きながらゆっくりと作品を見ました。これだけの作品を一挙に百数十点見るとさすがに疲れましたが、作品制作の裏話を聞きながら、驚嘆しながらも楽しく見ることが出来ました。一番最後に今回僕の見たかった「海と戦さ」が飾られてありましたが、感想はうまく文章が書けないので、実際に一人一人見て感じて下さい。それと、幾らかの牧野邦夫(敬称略)が残した文章が展示されていました。今回の図録の夫人の言葉にもありますが、牧野邦夫は画とおなじ位文章も書いていたそうです。その言葉には画に向かう姿勢や心や葛藤が現れていて、一つ一つ誠実で深みがあり、僕自身が発する言葉がいかに貧弱なものか、考えさせられてしまいました。まぁ、自分のいいかげんさにいつも反省しちゃうんですけど(笑)。このような仕事をみると、仕事に対する姿勢と、執念のような切り結び方、集中力、いつも勉強させられます。僕は牧野さんよりも2年も生きてますよ。

図録です。

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巻頭に載る「地獄変(芥川龍之介作品より 1975)」と「海と戦さ(平家物語より 1975)」。これらを見ただけでも牧野邦夫の凄みが判ります。

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「未完成の塔」、法隆寺だそうです。10年で一層、30年かけて未完の三層描く予定だったそうです。これ、一番下の右端に藤田嗣治の顔が描かれてますよ。もしも展覧会にいかれたらよく見て下さい。こんな謎解きがいろんなところにありますよ。

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「ビル(タイトル不詳) 1957」。かつて東京・日比谷にあった大阪建物ビル。このビルに邦夫氏の従兄(? 夫人から聞いたのですが忘れました)が務めていたそうです。図録を写真に撮ったので画が曲がっているように見えますが、実際の画も不思議な曲線になってます。上の「地獄変」のように耽美的(?)な画も多いですが、こんな風景画も僕は好きです。

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佐伯祐三を思わせるような「街はずれの公園 1961」

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「複製のある部屋 1962」。 夫人曰く、この画を見て黒柳徹子さんが肖像画を依頼して来たそうです。それにしても黒柳徹子さんは眼が高いと云うか、変わっていると云うか、この画を見て肖像画ねぇ・・。たぶん、黒柳さんはこの画からすぐに牧野邦夫の実力の凄さを感じ取ったのでしょうね。よく見ると畳や柱や襖などものすごくリアルです。黒柳さんはすでにこの当時から牧野邦夫の存在を知っていたと云うことです。

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下の3枚は図録からスキャンしました。1983年に描かれた不思議な「東寺」。

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「食卓に座る千穂 1980」。牧野夫妻の生活風景、そんなことはないですね(笑) こんな面白い画もあります。

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ある時夫婦で散歩をしていた時、雀の死骸が落ちていたそうです。そっと手に取るとまだ暖かかったので、家までもって帰り、当時牧野家には二つ冷蔵庫があったそうですが、その一つの邦夫氏専用のお酒の入れてある冷蔵庫にしまい、後に画に描いたそうです。まだ暖かかった雀の死骸をそのままにしておけず、画にしてくれと云われたような気がして、丁寧に描いたんでしょうか。なんかその時の夫婦の優しい会話が想われます。

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いきなり現実に戻っちゃいますが、帰りに美術館の入り口で記念撮影。右が牧野夫人、左二人が本田さんと長野さん、二人でペンネーム姫川明です。22年振りの牧野邦夫の大規模な展覧会。これからどのように評価されて行くのか判りませんが、今発売されている小学館版『日本美術全集』に作品が掲載されるということです。最終日の6月2日までまだまだ日があります。是非、展覧会に足を運んで下さい。

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