2013年7月15日 伊豆高原「花吹雪」コンサート

  • 2013年7月13日 00:07

毎年7月の『海の日」にコンサートを開催しています。温泉に入って、美味しいお食事をいただき、秦琴を聞く、そんなちょっと贅沢なコンサートです。7月は震災から2年以上経ちますが、まだまだ大勢の人が避難を余儀なくされ、また悲しみも簡単には癒えることはありません。そんな気持や、初心を忘れないように音楽をして行きたいと思っています。今年もまたおいで下さい。

日程:
平成25年7月15日(月)
(毎年7月海の日開催)
時間:
午後8時開演
場所:
伊豆高原城ヶ崎温泉 花吹雪倶楽部ハウス
コンサートご案内
料金:
前売券3,000円(当日券3,500円)
定員:
70名
お問合せ:
伊豆高原城ヶ崎温泉 花吹雪
〒413-0232 静岡県伊東市八幡野磯道1041
電話:0557-54-1550
http://www.hanafubuki.co.jp/index.html

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森の中の瀟洒な離れの宿です

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2013年7月15日「花吹雪」コンサート 曲目とコメント

* 「佐穂の子守唄」NHKドラマ『蔵』より

「宮尾登美子さん原作の『蔵』が以前NHKでドラマ化され、音楽を担当しました。その劇中人物の一人に檀ふみさんが演じた「佐穂」と云う人がいます。主人公である、眼の見えない「烈」と云う女性を、その幼い時から献身的に世話をする役柄です。「烈」の母である姉の夫を思い慕うようになりますが、結局最後まで思いを遂げることが出来なかった「佐穂」のテーマ曲です。心を癒すような子守唄の曲調にしてみました。」


* 「星めぐりの歌」(宮沢賢治作曲)

「宮沢賢治の詩は皆さんよくご存知ですが、この「星めぐりの歌」は賢治自身が作曲もしているものです。星座を歌った歌詞が付けられていますが、今回はその曲だけを少しアレンジして演奏します。宮沢賢治作曲というと、なにか銀河鉄道のようなロマンチックな曲と思いがちですが、そうではないですね、大正歌謡のようなカラっとした小曲です。」


* 「蓮糸の上帛(はすいとのはた)」

「蓮の茎の繊維を藕絲(ぐうし)とも言います。蓮糸の上帛(はすいとのはた)とはその儚い糸で織った布のことです。奈良の都を舞台にした折口信夫の『死者の書』に出て来る言葉ですが、今でもインドではこの蓮糸の布が織られているようで、私も以前に僧侶の袈裟に使われているのを見たことがあります。この曲は来年早々リリースする新譜CDに収録する曲です。」


* 「山百合一輪川に流せば」(歌)

「親しい人をたて続けに亡くしたことがありました。そのころからよく悲しみの所在について度々考えるようになりました。そんな時期に、川端茅舎の句「朴散華即ち知れぬ行方かな(ほうさんげすなわちしれぬゆくへかな)」からヒントを得て作った曲です。高浜虚子に師事し、その句は『茅舎浄土』とまで呼ばれた川端茅舎(享年43歳)は伊豆の修善寺に眠っているそうです。朴を山百合に変えてみました。「海の日」のコンサートの頃、伊豆は山百合が満開でしょうか。」


* 「月の沙漠」

「もちろん皆さんご承知の童謡です。作詞:加藤まさを、作曲:佐々木すぐる。大正、昭和初期のころは、子供達のために大人が一生懸命に音楽を創っていました。判りやすくていい曲が多いですね。ちなみに、沙漠の「沙」は「砂」ではないですね。加藤まさを氏が学生時代に結核の保養のために訪れた御宿海岸の風景から発想したそうですが、四番の歌詞はこんなふうになっています。

『広い沙漠をひとすじに 二人はどこへ行くのでしょう。朧(おぼろ)にけぶる月の夜を 対の駱駝はとぼとぼと 砂丘を越えて行きました。 黙って越えて行きました。』

なにか彼の死生観のようなものを感じます。砂丘を越えて死の世界に向かうような。そんな深みを秦琴の音色で表現したいと思います。」


2.nd

* 「星の大地」

「私のテーマソングのような曲です。星の大地、というと満天の星々が瞬くモンゴル草原のような感じをイメージしがちですが、いえいえそうではありません。今ここがまさに満天の星に囲まれた星の大地なのです。地球上何処に行っても、その空の上には満天の星が輝いています。そんな青い星に私達は生まれ、宇宙の時間から見れば、ただの一瞬に等しいこの時に、奇跡のように出会い、共に生きているのです。」


* 「鳥の歌」(スペイン・カタルーニャ民謡)

「チェリストのカザルスによって世界的に知られるようになった、スペイン・カタルーニャ地方の民謡です。カザルスのテーマソングのような曲ですね。私はカザルスが弾くこの曲から演奏の原点を学びました。カザルスに云わせれば、鳥はピース、ピース(平和)と鳴くそうです。」


* 「さくら幻想(日本古曲・さくらさくらより)」

「”さくらさくら“ はよく日本古謡とされますが、実際には江戸時代の後期に出来た曲です。子供用の箏の練習曲として作られた曲ですが、いまは日本を象徴する曲になっています。以前誰かのコンサートで、この ”さくらさくら“ が朗々と歌われたのを聞いて、なぜか中国奥地の少数民族の段々畑に鳴り響いているイメージがありました。太古の昔、私達の住む日本列島に様々の民族の人達が渡り来て混ざりあい、現在の日本民族を形成していったような、そんな思いがしました。音楽は不思議です、実際には江戸時代の後期に出来た曲であるにも拘らず、日本人のその奥底の太古のDNAに響いてくるのです。」


* 「絃鼗三日月(げんとうみかづき)」

「中国、秦の始皇帝の時代、中国音楽史上に “絃鼗(げんとう)” と云う弦楽器が初めて登場してきます。日本、中国の、大凡の棹が付いた(秦琴も含め)弦楽器の原点とも云われています。 “絃鼗” の「鼗」は「鼗鼓(とうこ)」とも云い、「振り鼓」所謂「でんでん太鼓」のことです。これを逆さまにして、その柄を楽器の棹に見立て、太鼓の胴体を楽器の胴にして、ベンベンと弾いていたと云われています。漢民族が作ったとされていますが、紀元前3世紀頃の秦の時代、当時の西域・シルクロードの交易を支配していた “月氏(げっし)” と呼ばれたトルコ系民族の人達がもたらした楽器かもしれません。そんな楽器を弾きながら駱駝に乗った彼らの上に砂漠の三日月が輝いています、そんなイメージの曲です。」


* 「忘れていた心」(歌)

「ある知人の音楽家夫妻のコンサートを見に行ったときの出来事です。その夫君はすでに病と闘ってみえたのですが、二人の歌う姿を見て目頭が熱くなってしまいました。その時ふと、人は、今日は星がきれいだなあ、風がすずしいね、月があかるいね、雨が気持ちいいねとか、花がきれいだねとか、それで十分な訳で、そう思えれば崇高な哲学も宗教もいらないのではないかと、そんなことが心に湧いてきました。何故なら、私達人間は、風が吹くように、太陽が昇るように、花が散るように、星が瞬くように、月があまねく照らすように、この地球に生まれてきたのだから。難しい理由も訳もないのです。そんな心を私はいつも忘れてしまいます。」



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