「若き日の行状記(ロンドン、バンコク編)」の最終稿

  • 2016年1月11日 19:45

昨日の1月10日の投稿の続きです。これで「若き日の行状記(ロンドン、バンコク編)」最終稿です。1976年、私め、26歳の頃ですね。

先回までの話しは、結局マレーシアに出国出来ず、借り切ったタクシー二台で今度はバンコクまでマレー半島を北上することになった、というところまでですね。

ドタバタ喜劇のようなわけで出国できず、国境の宿で一泊して翌日バンコクに帰ることになりました。またまた夜中も寝ずに走るのですから僕らもタイ人の運転手もクタクタです。
真夜中、崖のはるか向こうに山々が幽かに見えている、そんな真っ暗闇の中を車は一路マレー半島を北上していました。外の景色はほとんど見えないので、僕は ウトウトしていました、すると突然、ザザザァー・・・というすごい音ともに車はガクンと傾き、僕は一瞬、うあっー、車が崖から落ちた、と思いましたよ。し かし車は傾いたまま、ガガガァーと云う感じで道路に止まりました。崖から落ちたんではなかったのですね、よかった。

どうしたんだろう、と思いながら車から降り、真っ暗闇の中、僕が乗っていた車を見てみると、後輪の左側のタイヤがどっかにすっ飛んじゃっていて、なくなっていたのです。ちょうど僕が座っていたことろの真下のタイヤです。進行方向右側が崖になっていたので、左側のタイヤは崖に落ちずにどっか草むらにころがっていると思い、暗闇の中、皆でタイヤ探しが始まりました。タイの人達の顔は引きつってました、山賊が出て来たらがどうしよう、なんて思っていたのでしょうか。

しかしいくら探しても見つけられず、ほとんどあきらめかけていたとき、ギターリスト(名前は書きませんが)が、ちょっとウンチしてくるなんて云って闇に消えてゆきました。まぁ、怖いもの知らずの、のんびりしたもんですね。するとしばらくして、「オーッ、ここだぁ、ここだぁ」というような叫び声が聞こえてきたんです。彼がウンチをしようとして、よいしょ、としゃがんだ目の前の闇の中にタイヤがころがっていたんですね。「本当かよっ」、と思うでしょ・・、本当に本当なんです。

休憩した村でタイヤ交換していることろをボッーと見ていましたが、なんかタイヤのナットの締め方がいいかげんだったようなことを思い出します。今思えば、なんか全体の出来事がボワっと夢のような幻のような、そんな感じがしていますよ。
とにかく、こんな嘘のような話しでタイヤが見つかりなんとかバンコクに帰り着いたわけですが、結局タイを出国せざるを得ず、帰国することになりました。

「マナースタジオ」でレコーディングした音源は、「ファーイーストファミリーバンド」の二作目『多元宇宙の旅ーパラレルワールド』として、当時のコロムビアレコードから発売されました。写真はその復刻版CDです。

帰国後、しばらくして、私は「ファーイーストファミリーバンド」を一人抜け、自己のバンド「観世音」を結成し、その活動の中で「秦琴」と出会いました。秦琴奏者としては、DVD、自主制作を含めなんとか、最新作『満月の滑空』まで、15作品をリリースすることが出来ました。これからどのような音楽活動ができるかは、神のみぞ知る、ですが、先に逝った役者をしていた友人が「・・最期は結局、アキの踏ん張りだよ・・」なんてよく云ってました。そうですね、踏んばりたいと思います。

今年もよろしくお願いします。 最新作『満月の滑空』 ←クリック

復刻版CD『多元宇宙の旅ーパラレルワールド』(ファー・イースト・ファミリーバンド)

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復刻版CD『観世音』(観世音) こちらは『観世音』について良い評論です ←クリック

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