重度精神障害者の施設で8年の間をおいて二度演奏したことがあります

  • 2016年7月30日 23:48

ある人の「縁」で、私は、重度精神障害者の施設で8年の間をおいて二度演奏したことがあります。最初はまだCDも出していない頃で、インド音楽の様に地べたに座って演奏してました。施設の小さな板の間の会場に、記憶は不確かですが、保護者の人に付き添われた30人程の障害者の子供達がいたように覚えています。当然演奏で起きたことはふつうのコンサートとは全く違います。

音が出た瞬間に、ワーッと子供達がなだれ寄って来て、床置きのスピーカーにしがみついたまま離れない子、私のすぐ真ん前に来て、ジッと私を見つめ目が合いそうになるといきなり顔を真横にそむけて硬直したように動かなくなる子、私の横にあった打楽器を叩きまくっている子、体を動かして止まらなくなる子、・・こっちはもう関係なく即興演奏をするしかないです。施設の人に後で聞いたのですが、こう云う刺激はとっても良かったそうです。帰るときに自閉症(?)の10歳くらいの子が私の手を握って自分の頬に押し付けて離してくれませんでした。

それから8年後にもう一度演奏しました。小さかった子はずいぶん大きくなっていましたが、誰が誰だかもうかわかりません。その時の演奏の記憶はよく思い出せませんが、彼等の障害は重度で治療を施せば少しはよくなるのものではなく、当然一人では社会には出られません。大きくなったそんな彼等を施設の職員の人達は日々、介護をし、施設の運営を話し合い、まさに格闘をしながら働いていました。私にはとても出来ません。

現在、政府の福祉関係の行政の方向が、施設を減らし、家族に委ねる方向に向かっているようですが、全く逆で、現場の人数を増やしを彼等の待遇をもっと手厚くする方向に予算を使ってほしい。そんな政府が出来てほしい。

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