11月7日に「南青山マンダラ」で行われた、演劇倶楽部「座」に依る朗読公演『死者の書』のDVDが届きました。幾つかの場面を抜き出してあります。
『死者の書』は民俗学者である折口信夫の唯一の小説です。小説の舞台は奈良の都、藤原南家の郎女(お姫様ですね)がある日幻視した仏の姿を追って二上山の当麻寺に迷い込み、女人結界を犯した罪を購うため小さな庵堂にこもります。そこに50年程前に鸕野讚良(うののさらら、持統天皇)の謀略よって殺されたとされる大津皇子の亡霊が出る、と云う筋書きで話しが進みます。そして最後に、郎女がその仏の為に藕糸(はすいと)で織った上帛(布ですね)に無数の仏が来迎する画が浮かび上がり、それは集団白日夢であろうか、と結ばれます。
まぁ大雑把に言っているので勿論こんな簡単な筋ではないですが、ただ秦琴の音はさすがに良く合いますね。というのは丁度この時代は、先のブログにも書いた「阮咸」が弾かれていた時代です。この「阮咸」とルーツを同じくする「秦琴」の音はこの幻想的な物語にやっぱり良く合いました。
朗読なので写真はあまり面白みがないですが照明がきれいだったので載せました。
「秦琴」の音から始まり、死者の独白になります。
郎女が魂を奪われたと思い、人びとが魂振りに行きます。
藤原南家の女性達が郎女に従って「当麻寺」に。
大伴家持や藤原仲麻呂も登場します。
郎女が仏の幻影を観る場面。
当麻の語り部おばばの一人語り
郎女の語り
こんな感じで無事終りました。ありがとうございました。皆さんお疲れ様でした。東京国立博物館に「阮咸」を見に行ったときのブログはこちらに。