満月の滑空

夜はいつも 静かに明ける

時には 懐かしく

時には 希望に満ち

夜はいつも 静かに明ける

時には 悲しみの中に

時には 変わらぬ太陽が街を照らす


天上に輝く月は 尚美しく

無言の銀河の星々は 尚美しく

漆黒の大空を 円を描き 雲を切り 影絵のように飛ぶ鳥の

その広げた両の羽に 溢れるばかりの思い出を載せて


海も大地も愛おしく 風のにおいも愛おしく


幾度かの冬が過ぎ 幾度かの春を迎へ 

幾度かの夏の盛りの青い葉が 秋の黄色の画を描く時

幾千の幾万の鳥達が その嘴に小さな思い出を携えて

故郷に帰って来る



そのざわめきの中に 私達は 喜びが思い出の中から

静かに微笑んでいるのを 見るだろう

そのざわめきの中に 私達は 人の心のつながりが

木々を潤す水のように 尊いことを知るだろう



そして又 夜はいつも 静かに明ける

時には 君がそばにいるように

そして又 夜はいつも 静かに明ける

小さな芽吹きが 希望に変わるように



夜はいつも 静かに明ける