- 2015年8月17日 23:52
香月泰男の画集から「赤い屍体」
画集には、彼が満州の奉天から北上している時に、住人に私刑され沿線に遺棄された日本人の屍を見たと書かれていた。皮を剥がれていたそうだ、それだけ強い憎しみをうけたのだろう。北上している時、というのは、日本に帰還することができず、シベリアに送られる途中の出来事なのであろう。
過日見た、NHKの立花隆氏の番組で、香月泰男「私のシベリヤ」(立花隆著)を取り上げていた。
「日本に帰ってきてから、広島の原爆で真黒焦げになって転がっている屍体の写真を見た。黒い屍体によって日本人は戦争の被害者意識を持つことができた。みんなが口をそろえて、ノーモア・ヒロシマを叫んだ。まるで原爆以外の戦争はなかったみたいだと私は思った。・・・・だが少なくともこれだけのことはいえる。戦争の本質への深い洞察も、真の反戦運動も、黒い屍体からではなく、赤い屍体から生まれ出なければならい。」
香月泰男(1911〜1974)私が好きな画家の一人。シベリヤ抑留の画で知られている。深みのある「黒」色を創りだし、時にはその中に赤や青の鮮やかな色が入り、独特の色彩感覚がある。私の好きな画家はいつも妙なる色彩感覚がある。もちろん画に対するその心根もすばらしんですよ。
次は、私の秘蔵映像を載せようと思っています。
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