- 2016年2月15日 15:59
前回の投稿で触れた、1991年にビクターレコードからリリースされたCD『絲夢(いとのゆめ)』。デジタル録音された音源のミックスダウンに、スチューダー製のアナログハーフインチ、 76/sec、のテープレコーダーを用いると云う特殊なレコーディングをすることによって、「秦琴」の絹糸絃の音色を最大限に引き出したCDです。当時は今と比べ、秦琴の調弦が全体的に半音高いですが、それにしてもこのCDは秦琴の桐の胴体に張られた絹絲の張りと深みのある音がよく録れています。
その中から「月のささゆりーIn a lily'S aura」
【 試聴:左の三角の「►」スタートボタンを押してください 】
iphoneの方はこちらから試聴して下さい。
https://soundcloud.com/aki-fukakusa/in-a-lilys-aura
この曲は一定のテンポというものがありません。邦楽の「間(ま)」とも違い、あえていえば「呼吸」のようなものです。5分程度の長さで、どこできいてもかまいませんが、できればヘッドホンやイヤホンで少し大きめで聞いて下さい。PCのスピーカーならまだしも、スマホから鳴る音では良さはわかりません。忙しい毎日ではあると思いますが、しばし止まり、深い呼吸をしながら、演奏の独特の緊張感と「呼吸」に身を委ねて、音の強弱の妙味を聞き分けるように、集中して聞いて下さい。
音楽は当然、時間軸の流れにそって演奏されてゆきます。5分の音楽でしたら演奏が終れば、あたりまえですが5分経過しています。音は波でもありますが、この曲は、その音波が音の中心から球体状に広がり5分程経過した、その球体状の音の空間を、宇宙のちょっと彼方から、俯瞰しているような、もしくは池に広がった波紋を静かにみているような、すでに演奏された曲全体を見ているようなイメージ。そしてその音の間に間に何がみえるかは個人によります。
CD『絲夢』http://akifukakusa.com/2009/07/itonoyume.html
母の羽織で作った袋に収まった秦琴。
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