- 2018年7月11日 23:03
未曾有の災害の中でネット上では安倍首相の危機管理の甘さが指摘され、非難と擁護が入り乱れている。現在被災地に出向いて被災者と握手している映像も流されているが、安倍晋三という人に首相として国民への眼差しを感じたことがないので、災害に対しての彼の最初の態度にはいまさら驚かない。そういえばずいぶん前に森元首相が潜水艦事故のときにゴルフをしていて、あまりの危機意識の無さに支持率が激減して退陣に追い込まれたことがありましたね。百万歩ゆずって自民政権でもいいから、首相が替われば、社会からレイシズムが少しは減ると思うよ。
ところで、講談社の文芸誌「群像」で新人文学賞を受賞し今年の芥川賞候補にも選ばれている、北条裕子さんの『美しい顔』が、他の作品からの流用疑惑で騒がれていますよね。ノンフィクション作品『遺体 震災、津波の果てに』石井光太(新潮社)や、手記『3,11 慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』金菱清(新曜社)などから多くの表現で流用があるというもの。東日本大震災を題材にした重いテーマを、現地で一度も取材せず、複数の作品から表現を流用して書かれた作品に「群像」の新人文学賞与え、芥川候補にまですることは釈然としない。かつて水上勉氏が、自分の作品には人の言葉は一切ない、すべて自分の言葉だ、と云ってみえたことを思い出した。若州・一滴文庫で水上さんの取材研究資料を見ることが出来るけれど、重みがありますよ。
だいたい作者と編集者は、時には作品を否定するほど丁々発止しながら作品を作り上げて行く故に納得するものが出来るわけで、私は作品を読んでないのでなんとも批評出来ないですが、このような感じで書かれた作品に現場の編集者はどういう反応をしたのだろう、編集者の質も変わったということか、北条裕子さんは以前モデルもしていたアイドルなみの美人で、芥川賞でも取ればまちがいなくスターになっている。そんなことに目がくらんで、講談社はある意味表面的なこの作品にさまざまな賞を与えようとしたんだろうか。なんかさもしい社会になっちゃったのかなぁ。
ちなみに流用された、手記『3.11 慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』 の編者、東北学院大の金菱清教授(社会学)のインタビューはこちら。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/07/kiyoshi-kanebishi_a_23476700/
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