君の上に月輝く

君の上に月輝き
白くかすんで 夜に滲むは 君の吐く息

君の上に月輝き
もの言わず一人プラットホームに座る君は、
遠くを見つめて少しも動かず

君の上に月輝き
私は離れて 夜の気配に聞き耳を立てれば
一人の君の無言の声が 街燈の灯りの下にフワリと浮かんで
ゆっくりと私の方に 流れてくる

君の上に月輝き
君はいつも剥き出しの 輝く魂を 私たちの前に差し出してくる
君の父母は 遍く月の照らすがごとく
笑いながら 大きくそれを受け止める

しかし私は話しかけることも出来ず 笑いかけることも出来ず
流れ来る言葉を 右肩にかすめて
静かに うつむいて立ち去るだけ

君の上に月輝き そしてまた 君の上に月輝く