随分前に「風の丘を越えて」という韓国の映画を見ました。その最後のシーンの映像をユーチューブで見つけました、『パンソリ』を謡い語る旅芸人一家の話しです。詳しい筋はここでは書きませんが、別れ別れになった姉弟が再会し、弟が打つ『プク』という打楽器の伴奏で姉が『パンソリ』を謡い語る場面です。姉は目が見えず、また名乗り合わないので最初は姉は弟とは知りません。弟は姉と判っています。何故名乗り合わないかは書きませんが、とにかくそんな状況の中でセッションが始まります。
そのセッションの最中に姉はふと弟と気付く様な場面があり、そこに切ないテーマ曲が流れて来ます。僕はこの場面で映画館で、恥ずかしながら大泣きしてしまいました。
パンソリの流派は「西制便」と「東制便」があるそうですが、彼らの父は死ぬ間際に真のパンソリは西も東も無いと言って死んで行きます。僕はこのセッションの場面に、二つの対立する物が混ざり合ってより高みへと昇華して行く精神性を感じたんです。まぁ監督の“思うつぼ”ですけど、音楽の一つの理想です。だから涙が出て止まらなかったんです。朝鮮族の人達は分断された祖国を感じたのかもしれません。
ぼくは何故か朝鮮族の切ない音楽が好きです。ひょっとしたら、千数百年以上前の百済あたりの帰化人の血が混ざっているのかもしれないなぁ。前世が朝鮮族かも。僕の奥さんも千四百年位前の中国からの帰化人で、辿れば後漢の光武帝になるそうです。彼女の家の古文書に依れば。これは九州大学が調べているような代物だそうです。まぁ二人とも日本人として現代に生きている訳です。なんか不思議ですねぇ。
あっそれと、もちろん役者の人が本当にパンソリを謡っているのではありません。アフレコです。でもとにかく切ないですね。