そこの景色は知らないし 寒いのか暖かいのかも判らない
人は行方知れずと言うかもしれないが 私はきっとまた君を見つける事が出来る
人ごみの中で笑って手を振る君かもしれないし
虫の鳴く静かな秋の夜に 君が織る機織りの音を聞くかもしれない
寒い冬の夜に囲炉裏で暖まった小さな土間に ひょっこりと顔を出すかもしれない
そしてそのとき君はすこし怒って、笑いながら言うだろう
「おそいじゃないの」
そして私は又言う 「いやあ、あの後大変だったんだよ。いろいろあってさ」
冬かも夏かも秋かも判らないその日に 私は又、君と出会うのだ
風も、時も、雲も 只ただゆっくりと流れ
天上の月は沈みもしないし、昇りもしない
幽かな風の音を立てる、其の一日は
又、永遠の一日なのだ