笛:寶山左衛門、福原徹  1989年「玉三郎 IN HIMEJI」より

  • 2022年8月 4日 20:18

笛:寶山左衛門、福原徹  1989年「玉三郎 IN HIMEJI」より

デジタルにしろアナログにしろその記録媒体はそれを再生する機器がなければ何にもなりません、カセットテープもカセットデッキがなければただの燃えないゴミのやまです。

ライブやコンサート、時折の練習や一人セッションなどを録音したカセットテープが山ほどあったので、壊れていたカセットデッキを修理して、音源をデジタル変換してパソコンに取り入れサイトにアップしたりしています。ただこれからこのデッキが壊れたら、今となっては修理が出来るかどうか判らないし、かといって新しいデッキを、多分中古だろうけど、手に入れるだけの必要性があるかどうかちょっと迷うところです。

しかし古いカセットテープには全く忘れていた貴重な音もときどき見つかったりします。この寶山左衛門(たからさんざえもん)さんの笛の演奏もその貴重な音源の一つです。

1989年に姫路で行なわれた坂東玉三郎公演「玉三郎 IN HIMEJI」での私の演奏部分だけを編集したCDがライブ盤「白鷺」ですが、編集されてないコンサートの全編をそのまま録音したカセットテープが出てきました、その最後の部分に、玉三郎さんの踊りの部分を担当されていた寶山左衛門さんの笛の演奏も録音されていました。この曲が終わって玉三郎さんが登場という段取りでした。

1989年当時は、福原百之助(六代目)と名のっておられ、それから少しして寶山左衛門(四代目)を襲名され人間国宝になられてます。

演奏写真がないのが残念ですが、笛の音が深く響き渡り、いまの泥の世を清めるような見事な笛の演奏です。山左衛門さんの笛に絡むもう一つの笛は当時お弟子さんだった福原徹さんです。

姫路では楽屋が一緒だったのもいい思い出です、その後、何回か山左衛門さんのコンサートの楽屋に伺ったりしてはいましたが、だんだん疎遠になり、亡くなったことすら知りませんでした。亡くなってから12年が経っています、もっと縁を繋いでおけばよかった、葬儀にも伺いたかった。私は、いい縁を自ら壊して行く傲慢でほんとにダメな人間です、今までほんとに多くの良い縁を壊して行ったバカな男です。

8月7日の12年目の命日近くにテープを見つけたのも何かの知らせかも知れません。

 

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