1928年にフランスのPathé(パテ兄弟社)から発売された「Pathé Motocamera(パテ・モトカメラ)」

  • 2022年12月19日 22:04

1928年にフランスのPathé(パテ兄弟社)から発売された「Pathé Motocamera(パテ・モトカメラ)」、フィルムは8mmとか16mmではなく9.5mmを用いた。 レンズはドイツのCarl Zeissの(カールツァイス)のZeiss-Jena・Tessarが付いている。

100年近く経っている割には綺麗でハンドルを巻けばまだ動くけれど、9.5mmのフィルムなんぞもうないでしょう。ただフィルム撮影機を使っている映像作家の人は9.5mmの作品も発表しているようです。日本では、日本映画機社というところが昭和12年(1937)~昭和15年頃に9.5mmフィルムのカメラを製造していたようです。

Pathé(パテ社)は1896年にパテ四兄弟によって設立されたフランスの大手映画製作会社です。20世紀の初頭には世界でも最大手の映画撮影機器製造会社になり、第一次世界大戦直前の時期にはヨーロッパの映画用カメラおよび映写機の市場を支配し、世界の映画の半分以上がパテ社の機材を使って撮影されていたようです(wiki)。チャップリンもPathéの機材を使っていたのかもしれないですね。

しかし第一次世界大戦から10年後、経営が悪化し、映画プロデューサーだったベルナール・ナタンがパテ社を買収した。ユダヤ人のナタンはマスメディアから執拗な攻撃を受け続けたが、1930年代の世界大恐慌にかかわらずパテ社を再興し好調な経営を続けた。しかし結局1935年にパテ社は破産した。

パテ社の倒産で、ユダヤ人の所以か、ナタンはフランス官憲の取り調べを受け、1941年に告訴され有罪となった。そしてフランス当局は当時の占領者であったナチス・ドイツに彼を引き渡してしまった。彼はそのままアウシュヴィッツへと送られ、同年もしくは翌43年にアウシュヴィッツで死亡したそうだ。

1928年のこのカメラは当時のフランスのどんな風景を、どんな社会を写していたんだろう。物は所詮は物だけれど、それにまつわる物語は広くて深くて、とてもピントがあわせられない。

戦後、パテ社は様々な投資家や会社に買収されながらフランスの老舗大手映画会社として現在にいたっている。

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