「大人の子守唄」、百済観音に心を寄せて

  • 2023年11月23日 23:36

「百済観音に寄せて・大人の子守唄」、1990年4月、新宿ミノトールライブ、カセット音源。

秦琴:深草アキ
打楽器:甲斐いつろう

80年代の後半から90年代にかけて新宿西口高層ビル群の一つ「NSビル」の中に、新星堂直営の「ミノトール」というライブハウスがありました。

当時僕は、新星堂の子会社「オーマガトキ」レコードの専属のような感じだったので、「ミノトール」には度々出演していました。 シャンソンとかボサノバなんかのミュージシャンが出演するレストランライブハウスでしたが、そんなことはおかまい無しに、20分も30分も休まずに、しかも、胡座で演奏していました。

そのミノトールでの1990年4月のライブから『大人の子守唄』、カセットテープ、打楽器は甲斐いつろう氏です。 コンプレックスで落ち込んだりしていた自分への慰めのタイトルだったと思います。

このライブの曲を編集している時にたまたま法隆寺の「百済観音」の写真を見ていて、この謎多き仏像に惹かれました。

作者は不明で、制作年代も飛鳥時代ではあるがはっきりとしない。法隆寺にもとから在ったものではなく、後世、他の寺院から移されたものとの説があるが、正確なことは解っていないらしい。

日本で百済人によって制作されたものと見なされてはいるが、朝鮮半島からの舶載品なのか、確証はないということです。 様式は中国・南朝のものが百済に伝わったものとされてはいるが、これも確たる証拠は無いらしい。

「百済観音」という呼称もさほど古いものではなく、大正6年(1917年)の『法隆寺大鏡』の解説が初出であるとされています。

仏像を見る心は古と現在とではまったく違っています。 現世の苦しみの救済を来世に願い、仏像に託す心は今ではもうとっくに失われていて、仏像自体は美術品になってしまっています。

決して戻らない謎多い死の、何一つも解っていないけれど。


 

 

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