彫刻家「いさむのぐち」の父、野口米次郎の本でした

  • 2010年12月 9日 23:48

僕の知人(女性です)が、今上映中の映画「レオニー」の広報を担当していました。彼女は嘗て、筑紫哲也氏のTBSラジオの「ニュースジョッキー」のアナウンサーでした。僕がその番組のテーマソングを演奏していたのでそれからの付き合いですので、もう20数年になります。その後、彼女は埼玉FM「NACファイブ」のアナウンサーを経て、最近は映画「レオニー」の広報を担当していました。

そんな縁で、11月24日の日暮里「本行寺・月見寺」コンサートには「レオニー」のチラシを皆さんに配りました。打ち上げの席でも彼女が映画の話しをした訳ですが、その時にご住職の弟さんの加茂良裕和尚さんから、「レオニー」ゆかりのちょっと面白いものがあるよ、って云われました。「レオニー」は、彫刻家の “いさむのぐち” の母親である、レオニーギルモアさんの生涯を描いた映画です。そんな訳ですから、ひょっとしてレオニーギルモアさんのゆかりの品かな、なんて思っていました。

それで後日、あらためてお寺に伺い良裕和尚さんから見せて頂きました。それはレオニーギルモアさんのものではなく、彼女の夫、つまり “いさむのぐち” の父親である野口米次郎の本でした。1941年に出版された本です。野口米次郎は1947年に亡くなっているので、亡くなる少し前に出版されたものです。

「聖武天皇と正倉院」と題された美しい本でした。

このような箱に入っています。墨字で「Yone Noguchi」と書かれていますが、本人の自筆なのかは判りません。

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二冊の和綴じ本になっています。龍と鳳凰のような、専門的にはなんと云うのでしょう、が描かれ英語で題名が書かれています。

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中は全部英文です。米次郎は愛知県海部郡津島市に生まれ、明治23年に慶応義塾に入学しています。明治26年に渡米しシカゴで新聞記者を務めていましたが、日露戦争で帰国してそのまま日本に留まり慶応義塾大学で英文学を教えていました。妻であったレオニーギルモアさんはその米次郎を追って、子供であった “いさむのぐち" を連れて明治時代の日本に来日したのです。

映画「レオニー」はそんな彼女の生涯を描いた映画ですが、この本は詩人であり英文学者であった米次郎の面目躍如の美しい本です。よほど「正倉院」に感動したのでしょう、その美と価値を海外に紹介したかったのでしょうか。

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こんなことが書いてありました。「美の探求に魂を馳せる我が友に」とでも云うのでしょうか。

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美しい本でした。良裕和尚さんありがとうございました。僕も「正倉院」展にはよく行きます。楽器が出展される時は努めて行くようにしています。今年は「五絃琵琶」が出展され、見に行ってきました。

そのときのブログはこちらです。

「五絃琵琶(ごげんびわ)」を見に行きました。

「五弦琵琶」のこと

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