- 2012年11月14日 11:16
先日、国立音大で「東洋音楽学会」の第63回大会がありました。一般社団法人となって初めての大会です。今年号の機関誌『東洋音楽研究』に小論が掲載されたこともあり、その一日目に出席しました。国立音大の講堂で行われ、竹内道敬氏の公演、笙の宮田まゆみさんのレクチャー、伶楽舎のコンサート、そして最後に一般社団法人となって初めての「東洋音楽学会」総会がありました。元国立音楽大学教授の竹内道敬氏は日本音楽資料のコレクションで有名な方ですが、その収集の苦労話はなかなか面白かったでした。伶楽舎は芝祐靖氏が1985年に設立された民間の雅楽演奏団体です。宮田まゆみさんも所属されていますが、宮田さんは笙のソリストとして活躍されています。彼女のレクチャーは「雅楽の現在」と題して、宮田さんが関わった公演の模様をいろいろ紹介されながらのお話しでしたが、クラシック的な現代音楽が多かったでした。宮内庁楽家の豊剛秋氏の最近の雅楽以外の活動を知れば、聴衆の皆さんはもっと面白かったでしょう。豊剛秋氏は僕の秦琴のライブも手伝ってくれてますが、ジャズやタンゴのピアソラなども笙で演奏したりと、とても幅広く演奏活動をしている音楽家です。宮内庁を辞めてからマスコミ的に有名になった東儀秀樹氏は笙ではなく篳篥が専門ですね。豊剛秋氏の活動を見れば、笙にはクラシック的なアプローチ以外にも様々な可能性があるように思います。伝統音楽である宮内庁の「雅楽」はそんなに急速に変化をすることはありませんが、笙と云う楽器の可能性を追求している豊剛秋氏のような楽家の活動は、「雅楽」からの一つの問いかけでもあるのです。
初めて行きましたが、国立音大の講堂は立派でした。
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