『天の鈴を鳴らす人』1991年2月 四谷コタンライブ

  • 2021年10月30日 22:54

『天の鈴を鳴らす人』1991年2月 於:四谷コタン * カセットテープ音源
秦琴:深草アキ  パーカッション:甲斐いつろう

天の鈴には長い紐が垂れ下がっているがその紐が見える人は少ない、ましてや鈴が鳴ったとしてもそれが聞こえる人もまた少ない。

日本の古墳時代の弦楽器と云えば、椅子に腰掛けて琴の様なものを弾いている埴輪しか知らないけれど、古墳時代の三世紀から六世紀の中国は、司馬氏の晋から南北朝の時代で、そのころ円体胴に棹がついた、音楽学者の林謙三氏云うところの「漢式琵琶」と呼ばれる楽器が文人の間に流行っていた。この楽器は秦琴の源流でもありますね。

晋・傅玄(ふげん)や成公綏(せいこうすい)などが琵琶賦を詠じ、傅玄はその「歌詩」の中で琴や瑟よりこの琵琶を好むと言い、裴啓(はいけい)の『語林』に記された琵琶も、嵆康(けいこう)の『声無哀楽』に出てくる琵琶も、孫該の「琵琶賦」も、そしてまた南朝宋・劉義慶の『幽明録』『世説新語』に記された琵琶も、前蜀・杜光庭(とこうてい)『録異伝』に記された琵琶も、皆この漢式型の琵琶であり、周知のように阮咸もこの楽器を好んで弾じていた。

華北は鮮卑拓跋の北魏によって統一され、南朝は宋、斉、梁、陳と王朝が移り変わるが、その北魏でも石仏の光背にはこの楽器を弾く飛天がよく彫られている。北魏の石仏展などに行くとこの楽器を弾く飛天が一つや二つ見つけられますよ。しかし北魏の仏像に多くの影響を受けた飛鳥仏には所謂「曲頸琵琶」はよく見ることができるけれどこの漢式型の「琵琶」は一つも見つけられない。

* 秦琴の歴史の詳しくはこちらから
http://akifukakusa.com/shinkin_new/history.html

『天の鈴を鳴らす人』1991年2月、於:四谷コタン with 甲斐いつろう

 

 

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